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三重県立図書館 | ||||
番号 | 質問 | 回答 | 回答プロセス | |
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グリム童話で「金と銀とガラスの山」という話があるのは分かっているが、その話を読みたい。 あらすじ:ある国の王女が出かけていく後を兵士がついていくと、金の山には金の木が生えていて、金の葉がついている。銀の山には銀の木、銀の葉が、ガラスの山には、ガラスの木、ガラスの葉が(別のものだったかも)。兵士はそれらの葉を取って帰り、王に見せる。王がそのことを王女に問いただすと、王女は混乱して死んでしまう。死んだ王女を埋葬し、墓の番に兵士たちを立てるが、皆、悪魔に取り付かれた王女に殺されてしまう。確か、夜中の12時から1時(11時から12時かも)になると、柩から王女の声が聞こえてくる。番をしている兵士がその通りにすると、兵士は死んでしまう。しかし、葉っぱを取ってきた兵士だけはなぜか生き残り、最後は王女と結婚する。 |
「金と銀とガラスの山」というタイトルのストーリーはなし。前半部と後半部に似た話がグリム童話に収録されていたのでご案内した。 前半:「おどりぬいてぼろぼろになる靴」(物語番号:133) 金・銀・ダイヤモンドでできた木の葉、王女、兵士が登場。ドイツのヘッセン州の話では、“十一時になると床の揚げぶたが開いて、11人の姫が現れる…”という場面も描かれている。 後半:「柩のなかの王女と番兵」(物語番号:219) 王女が王に頼んで自分の墓を作り、自ら墓に入る。毎晩、墓番の兵士が、ひとり残らず王女に殺されてしまうが、王の命令で兵隊になったフリートリヒが墓の番をするときは、白装束の小人が現れて、フリートリヒに助言をする。夜の十一時になると王女が墓から出てきて、十二時になると戻っていく。王女はフリートリヒを殺そうとするが、小人の助言どおりにしたフリートリヒは命拾いする。3度目に、王女は悪魔ののろいが解け、フリートリヒは王女と結婚する。 上記2話をひとまずご覧いただいた。なお、グリム童話集に付されている番号についても質問されていたので、「物語番号」というものがあることをあわせてお伝えした。 |
「金と銀とガラスの山」「ガラスの山」「金 銀 ガラス グリム」などでLics、他館WebOPAC、総目等を検索したがヒットせず。yahoo等でも見つからず。児童文学全集総覧等のレファレンスツールでも見つからないため、当館所蔵のグリム童話集の目次を順に見ていった。タイトルは違う可能性が高いので、伺った話である可能性の高そうなタイトルを探したところ、「柩のなかの王女と番兵」が見つかった。他の職員に協力を求めたところ、yahooで「金 銀 王女」で検索すると、『おどる12人のおひめさま』がヒットしたとのこと。内容を確認すると、「おどりぬいてぼろぼろになる靴」がこれに該当した。岩波文庫版に「物語番号」について説明があったため、他の出版社のものも確認したが、内容にはほとんど差異はかった。ただし、岩波版には類話の解説等がついていたため、こちらをご案内した。 |
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2 | 伊勢音頭の歌詞と曲(メロディ)が知りたい。 |
伊勢音頭としてよく紹介される曲に、「正調伊勢音頭」、「道中唄伊勢音頭」、「別れの唄」があります。『復刻日本民謡大観』(日本放送出版協会刊)には「正調伊勢音頭」、「道中唄伊勢音頭」の2曲が楽譜つきで紹介されています。CDも付いているので聞いていただくことができます。 なお、同書は、青森県立図書館でも所蔵しております。お近くの図書館にお申込みいただきますと、その図書館で所蔵していない場合は“相互貸借”というサービスを使って、他の図書館から取り寄せることができます。 |
直接電話を受けていないので、詳細が分からず。「伊勢音頭」で検索すると別添のような資料がヒットしたが、「伊勢音頭」は全国に派生している。どのような伊勢音頭をご所望か分からず、譜面が必要か音源が必要かも不明なまま調査開始。まず、歌詞から当たってみた。「伊勢音頭」「民謡」などをキーワードに検索すると別添資料のとおりヒットした。 次に、音声で聞けるものがないか未登録視聴覚資料の目録を確認したが、該当資料無し。地域資料では『三重県民謡集』に長唄風の譜面(?)が掲載されているのみ。 Web上では、「伊勢音頭研究室」のHPで「伊勢音頭」の“正調”と“道中”を視聴できるが、譜面はなかった。 伊勢市発行の小学生向け社会科補助教材『わたしたちの伊勢市』、伊勢市広報、『目で見る伊勢・志摩の100年』、『伊勢・志摩の歴史』上・下などにもなし。 地域資料を離れ、一般資料に当ったところ、『復刻日本民謡大観』がヒットした。付録CD付で、「伊勢音頭」の“正調”と“道中唄”を聞くことができ、譜面もついている。質問者は青森の方であったので、本書が青森県立図書館で所蔵していることを確認した。 |
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3 | 地方交付税交付金の算定の基準について分かる資料はあるか。(例えば、図書館への交付金は図書館の館数に比例するか) |
最新の資料により調査できたわけではありませんが、当館の資料を確認したところでは、@額の算出にあたっては、各地方自治体によって変動する数値(測定単位)にはより客観性の高い指標を使うように決められており、(社会教育の分野では)額に影響するのは人口のみで図書館の館数は関係がないこと、A全国一律に定められている基準単価(単位費用)の算出にあたっては、あらかじめ標準とされる図書館費が反映されていること、の2点から、図書館の館数によって交付税額が変動することはないのではないかと推測されます。 |
地方交付税の額については、各地方公共団体が必要とする一般財源の標準額である「基準財政需要額」から、各団体が集める一般財源の標準的な見込み額である「基準財政収入額」を差し引いて得ることができ、さらに「基準財政需要額」は「測定単位」×「単位費用」×「補正係数」という計算式により得ることができる。 「測定単位」は、あらかじめ区分された行政項目ごとに、その行政項目の財政需要の量を測定するために設定された指標・尺度のことを指し、地方交付税法にて定められているが、これには図書館の館数という指標はない。 また「単位費用」は、標準的な行政を行う場合に必要な一般財源の額を測定単位一単位あたりで示したもので、これも地方交付税法により定められている。この算出にあたっては、あらかじめ標準的な団体・施設の規模、さらには各施設に配置する職員数まで設定をしており、図書館についても標準的な館数(=1館)が設定されたうえで金額が算出されている。 人口規模や気象条件などの違いから生じる経費の差を補うために設定される「補正係数」については、新しい資料での確認はできなかったが、図書館の館数による係数の変化はないと思われる。 |
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4 | 浄土真宗高田派に文類偈という経文があるが、その全文が知りたい。また、書き下し文と訳(意訳でも構わない)も読みたい。 |
浄土文類聚鈔(『親鸞全集 第3巻』)の中に記載されています。文類偈そのものの訳書や関連書は見付かりませんでしたが、調べたところ、文類偈は念仏正信偈とも言い、同じく浄土真宗の経文である正信念仏偈(正信偈)とは語句が少し異なるのみで内容は酷似しているとのことです。正信念仏偈の書き下し文、意訳は『正信偈をよむ』『正信偈62講』に一部掲載されています。また『蓮如上人全集 第3巻』にも、正信偈の和文が掲載されています。 |
まず文類偈を『総合仏教大辞典』『岩波仏教辞典』などで調べたが、記載なし。次にネットで調べてみたところ、『声明辞典』(当館所蔵なし)からの転載文や東海教区仏教青年連盟のサイトが見付かる。 |
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5 | 1910年当時、東京から中国の奉天へ行くまでの最も早い経路を知りたい。(但し条件として、@一般人であること、A出発地は東京駅、B飛行機は定期路線があれば利用可、の3点がある) ※事前に別の図書館に照会したところ、1910年には飛行機についてはまだ利用できなかったので、鉄道と船を利用する手段になると思われるとの回答を得ている。 |
当館で所蔵する資料の中で鉄道の時刻表の復刻版があり、1910年の時代のものも所蔵していました。一部の時刻表では船(外国航路も含む)の時刻・運賃表についても記載があります。 鉄道の場合、新橋が起点となりますが、船を利用するとなると、横浜、神戸、下関、長崎からそれぞれ大連までの航路がありますので、それぞれの組み合わせで比較することになります。 但し特に航路については毎日出航するわけではないため、いただいた条件で最も早い経路を判断することは困難です。 なお、『明治大正鉄道省列車時刻表』では、新橋から奉天までの時刻表が1ページでまとめられており、これを見ますと下関から航路を利用して釜山まで行き、朝鮮半島経由で奉天まで鉄道を利用するというルートになっています。 |
当館で所蔵する資料の中で鉄道の時刻表の復刻版があり、1910年のものでは『明治大正時刻表』『明治大正鉄道省列車時刻表』の2種類があった。前者については鉄道のほか航路の時刻や運賃表も詳しく記載されており、後者については東京(新橋)から下関・釜山を経由して満州までのルートが一つの表でまとめられていた。 鉄道の場合は新橋が起点で、船を利用するとなると、横浜、神戸、下関、長崎からそれぞれ大連までの航路があるので、それぞれの組み合わせで最も早い経路を比較することになるが、特に航路については毎日出航するわけではないため、指定された条件で最も早い経路を判断することは困難。 とりあえず上記の2種類の資料を依頼者に提供することにより回答とした。 |
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6 | 『ゲーテッド・コミュニティ 米国の要塞』は所蔵していないか。所蔵していない場合は、ゲーテッド・コミュニティに関する本はないか。今日借りられるものがほしい。 |
『ゲーテッド・コミュニティ 米国の要塞都市』(エドワード・J・ブレークリー、メーリー・ゲイル スナイダー著 集文社 2004)は所蔵はありませんでした。 「ゲーテッド・コミュニティ」の記述のある資料としましては『集合住宅デモクラシー―新たなコミュニティ・ガバナンスのかたち 』(竹井 隆人 著 世界思想社 2005)、関連資料としましては『プライベートピア―集合住宅による私的政府の誕生』(エヴァン マッケンジー著 世界思想社 2002)を所蔵しております。 |
ゲーテッド・コミュニティをgoogleで検索。1980年代、アメリカで広まり始めた集合住宅地のことで、多くが住宅所有者組合(HOA)とその理事会が制定する規則(CC&R)を持ち、自治政府としての要素が強い。 「アメリカ 集合住宅」から関連本を検索。回答の2冊を提供した。提供時に特に都市の防犯についてが知りたいとのことだったので、『集合住宅デモクラシー―新たなコミュニティ・ガバナンスのかたち 』の関連章の参考文献から所蔵図書を合わせて提供した。 |
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7 | 画家の今村幸生(伊勢市出身)の作品1号あたりの値段が載っている資料はないか。なお、『美術市場 1994』には掲載がなかった。 |
『芸術家年鑑』の1991年版には「十一万」、2000年版、2001年版には「十一万五千」との記載があった。評価基準は「傑作を標準とし、1号単位を評価基準とする」となっている。 また、『美術家名鑑』では、1995年版以降2002年版まで「100万」との記載がある。この評価基準は「10号の作品」となっている。 なお、『美術家名鑑』は当館での所蔵は2002年版までで、それ以降については県内他館に所蔵があるため、これについても紹介。 |
国立国会図書館のレファレンスDBを検索してみると、類似の質問があることが分かる。調査に使用した資料を参考に、当館で所蔵する『芸術家年鑑』『美術年鑑』『現代芸術名鑑』『美術家名鑑』を確認する。 このうち、『美術年鑑』『現代芸術名鑑』については、経歴や連絡先についての記載はあるが、評価額の記載はない。 『芸術家年鑑』は、2002年版以降のものはやはり経歴や連絡先のみだが、1991年版、2000年版、2001年版に評価額の記載があった。 『美術家名鑑』では、1995年版から2002年版まで、10号の作品での評価額の記載があったが、これ以降の所蔵はないため、MILAIにて県内の所蔵を確認し、合わせて回答する。 |
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8 | 山中智恵子の歌集『星暦(ほしごよみ)』を見たい。但し歌集のタイトルかどうかははっきりしない。 |
宗像ちゑ名義で『星暦』を出版していたことが判明、県内では伊勢と鈴鹿の各図書館で所蔵あり。 |
「ホシゴヨミ」で自館システムとMILAIの書名検索を行うが該当なし。山中智恵子の著作を検索しても該当するものはなかった。 インターネットのGoogleで「山中智恵子 星暦」のキーにて検索すると個人のブログのページで「宗像ちゑ名義」であるという記載を発見。 再度「宗像ちゑ」の著者名検索を行ったところ、当館には所蔵がないが、伊勢と鈴鹿の図書館に所蔵があることが判明。ただし読みは「セイレキ」であった。 |
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9 | 元三重県知事「有田義資」の読み方が知りたい。 |
「ありたよしすけ」と読みます。 |
14代の知事で、津市長を歴任。 人名録、県史、津市史、伊勢年鑑、議会記念誌などをみたが、名前の読み方は掲載されていなかった。 『新編日本の歴代知事』に全国の歴代知事の名前の読み及び略歴が載っていた。 |
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10 | 小学校の教師だが、授業で昔話の読み比べをさせたい。同じ昔話で、いろんなパターンをまとめた本はないか。 |
いくらか資料を紹介したところ、『日本の昔ばなし』T〜Vと『ガイドブック日本の民話』をご自分で購入されるとのことだった。 |
大人向けの内容でよいということで、『ガイドブック日本の民話』に、それぞれの昔話の背景、類話などがまとめられているので、まずこちらを案内した。しかし話そのものはあまり収録されていないので、読み比べできる、『日本の昔ばなし』をあわせて紹介した。 このほか、昔話が収録されている『日本昔話百選』、雑誌「国文学/解釈と教材の研究」「国文学別冊」でも昔話を取り扱っていたのでこちらも案内した。 具体的な研究書のコーナー『日本の昔ばなし』をそのまま子どもに渡したら読み比べることができるか、と質問されたがタイトルのみが同じで内容がまったく違うものも含んでいるため、小学生なら、ある程度話を選択して読んでもらう必要があるのではないかとお伝えした。 |
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